日本では1979年に養護学校義務制が実施されました。本人や親の意志決定以前に選別・分離する就学指導が行われ、初めの入り口から「分離教育」が行われてきたのです。
対して「統合教育(インテグレーション)」とは、全ての6才児が地域の学校で教育を受ける権利を保障しようという考え方、方法なのです。統合教育という考えでは、通常学級に障害児をお客様として迎え入れるということでしたが、さらに、その延長の上にインクルージョンの考え方があります。
ある地域で生活している子供は十人十色、その中にハンディのある子がいて当たり前という前提にたって、そうした子供達の違いを認め、個々の教育ニーズに対応し、全てを包み込みこむ学校・学級・社会が望ましいという考え方であり方法がインクルージョンです。
統合教育では、障害児が通常の学級にいるときに、教育課程が変わるわけですが、インクルージョンでは、障害児がいない状況もでもつねに多様な教育形態が行われます。日本では、小学校の通常の学級で、二学年以上の学業の遅れがある児童は9〜10%いて、長期欠席児童の急増やいじめや自殺などさまざまな問題があります。これらの子どもたちが自信をもち生き生きとした学校生活を行うためには、支援が必要な子どもたちを見捨てない教育が必要なのです。つまり、インクルージョンの考え方は障害児という枠組みではなく、すべての子どもたちの教育ニーズを包括することなのです。
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