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すももの会では、活動の一つとして「ろう教育を考える事務局」を開設しました。ホームページでは、その名のとおり、ろう教育、難聴児教育に関しての情報を発信していきます。


ろう児の言語獲得を保障する —言語学者ができること—

アメリカ言語学会刊行「ランゲージ」誌2014年6月号 “言語と公共政策”論文

http://meiseigakuen.ed.jp/top/language/index.html

アメリカ言語学会誌「Language(ランゲージ)」2014年6月号に掲載された論文の日本語版翻訳です。 内容は、医学関係者、とくに一般の医師に向けて書かれていています。 ろうの新生児は人工内耳、補聴器を装着するか否かにかかわらず、手話を獲得すべき。 ろう児がろうコミュニティーに出会えるようにすること。 国はろう児の家族の手話習得を支援すること。 医学教育に言語学的な考察を含むように更新すること。 医療専門職がろう児は手話を学ぶよう親に助言すること。 人工内耳の問題点やリスクについて。 など、9項目を提案しています。 そして「人工内耳の手術は手話を伴うものでないかぎりすべきではない」と結論しています。

サラマンカ宣言より

特別な教育ニーズがあっても、地域の普通学級へ通い教育をそこで実施するのが望ましいとインクルージョンの理念をうたった「サラマンカ宣言」の中でも、ろう盲者に関しては下記のような特別な見解が述べられています。

教育政策は、個人差と個別の状況とを十分に考慮するべきである。たとえば、ろう者のコミュニケーション手段としての手話の重要性が認識されるべきであるし、また、すべてのろう者が彼らの全国的手話で教育にアクセスできることを保障する準備がなされるべきある。ろう者および盲ろう者は特有のコミュニケーションニーズがあるため、彼らの教育は特殊学校もしくはメインストリーム校内の特殊学校やユニットでより適切に提供されるかもしれない。


聴覚口話法。

現在の日本のろう学校の基本的な方針は「聴覚口話法」です。聴覚口話法とは残存した聴力を補聴器や人工内耳で補い最大限活用し、音声の日本語を話せるようになることに重きをおいた教育方法です。聞こえない耳で聞き、自分では聞き取れない声で話せるように訓練をします。完全ではない聞こえを頼りに学習も進めていきます。視覚教材や指文字、キュードスピーチ、または手話単語・日本語対応手話なども併用しながら行う学校もありますが、どれも自然言語ではないためにそれらを習得することに時間がかかるばかりではなく、知りたい内容を100%理解し、自ら発信し、相手の意見もくみ取りながら議論するというようなことはあまり得意ではありません。授業は先生対生徒となることは仕方がなく、クラス全員が同時にたくさんの情報をキャッチし、議論を重ねながら答えを見いだしていくように展開していくことは難を極めます。そういったことからも、聞こえる子どものようなごく自然な学習体験の積み重ねや人間関係の経験も薄くなりがちです。


日本手話。

母語はその言語環境で育っていくことでごく自然に身につけていきます。母語があるからこそ、それを土台に他の言語を学び習得することができます。ろう児にとって自然に習得できる言語は日本手話以外にありません。日本手話は、日本語とは異なる文法構造をもつ独自の言語です。ろうの赤ちゃんは、日本手話と出会うことによって限りなく世界を広げていくことができるでしょう。
もちろん手話だけ習得できれば良いということではありません。たくさんの聞こえる人たちのいるこの社会で自信をもって活躍できるようになるためには、日本語も必要です。日本手話を第一言語とし書記日本語を第二言語となるバイリンガルに育つことが自然だと考えます。


日本のろう教育の現状

日本には100校あまりのろう学校がありますが、日本手話で授業を行っている学校はほとんどありません。日本のろう者たちは、昭和8年から国の方針で手話で学ぶ機会を奪われてきました。それでも頑なにろう者の間で受け継がれてきた手話は、ごく最近になって少しずつ許されるようになってきましたが、まだまだ日本手話での教育は普及していません。全国各地でろう者やろう児の保護者たちが手話での教育を求めて運動を続けています。

<日本のろう教育に新しい選択肢ができました>
2008年、日本ではじめて「バイリンガル(日本手話と書記日本語)・バイカルチュラル(ろう文化と聴文化)ろう教育」を行う私立学校が東京都に誕生しました。

学校法人明晴学園new



ろう教育を考えるリンク

特定非営利活動法人バイリンガル・バイカルチュラルろう教育センター

聞こえない子をもつ親のページ

全国ろう児をもつ親の会