すももの会ホームページに戻る

すももの会って?

インクルージョンてなに?

地域であたりまえに
暮らすこと

子どもの人権

活動報告

ろう教育を
考える事務局

会員・賛助会員募集中

リンク集・・

サイトマップ

手をつなぐ子どもたちイラスト

文部科学省の動きに危機感!
〜学校教育法施行令改正で子どもたちの未来は?!〜

今年1月に、文部科学省調査研究協力者会議の最終報告書「21世紀の特殊教育の在り方について」が出されました。現在これを受け、同省特別教育支援教育課が、障害のある児童・生徒の就学基準や就学指導の方法【学校教育法施行令】の見直しを進めています。かなり確度の高い情報によれば、本年11月には案がまとまる見通しです。そして、2003年からの適用となる意向のようです。
一人一人のニーズに応じた各種機関の機能、専門的な人材の充実などの、必要性が報告されており期待されるところもありますが、反面的には分離しハンディーのある子の振り分けの基準を明確化させようとする色合いが感じられます。もし、この案が報告書に沿ったものになるとすれば、知的障害や重複障害、医療的なケアを必要とする子どもたちの多くが普通学級に入ることが今よりももっと困難になりかねません。新聞等では、普通学級への門が広がるような報道もされていましたが、この報告書をよく読んでみると、普通学級に就学してもよいとされているのは、ごく「例外的な特別の場合」であるとされています。


文部科学省調査研究協力者会議の最終報告書
「21世紀の特殊教育の在り方について」より抜粋

第2章 就学指導の在り方の改善について
2 障害の程度に関する基準及び就学手続きの見直しについて
○医学、科学技術等の進歩を踏まえ、教育的、心理学的、医学的な観点から盲・聾・養護学校に就学すべき障害の程度を定めた基準を見直すこと。また、市町村教育委員会が児童生徒の障害の種類、程度、小・中学校の施設・設備の状況等を総合的な観点から判断し、小・中学校において適切に教育を行うことができる合理的な理由がある特別な場合には、盲・聾・養護学校に就学すべき児童生徒であっても小・中学校に就学できるよう就学手続きを見直すこと。
○特殊学級や通常の学級に置いて留意して教育すべき児童生徒の対象範囲等を明確にすること。

3 就学指導委員会の役割の充実について
○就学指導委員会の位置付けを明確にすること。
○市町村教育委員会に置かれる就学指導委員会は、審議に当たり保護者が意見表明する機会を設けるとともに、特殊学級、通級による指導等の教育的支援の内容等について校長に助言をする等の機能の充実を図ること。
○市町村教育委員会の判断と保護者等との意見がくい違う場合、都道府県教育委員会に置かれる就学指導委員会が客観的な立場から専門的な助言を行う等の機能を果たすことを検討すること。

文部科学省のホームページ<全文>

文部科学省 初等中等教育局 特別支援教育課
fax.03-3597-7764 e-mail.voice@mexf.go.jp


上記のように「身体障害で地域の学校に設備が整っている場合」、「合理的な理由があると特別に判断された場合」に限り「特別措置」として普通学校への就学が認められるというもので、知的障害のある児童生徒の普通学級就学は違法ではないが、不適当だ等という文言も盛り込まれる見込みです。このことが、障害のある児童生徒の排除に口実を与えることにもなりかねなく、充分に危惧されることなのです。また、就学基準見直しに絡み、就学指導委員会の位置付けを公のものにしようとしている動きも見て取れます。
現在、就学指導委員会は行政内部の内規によって各地教育委員会の諮問機関として設けられているものであって、そこでの就学相談など国民一人一人にとって義務ではないのです。それを「位置付けを明確にし」、「校長に助言する等の機能を図り」、「市町村教育委員会の判断と保護者等との意見がくい違う場合、都道府県教育委員会に置かれる就学指導委員会が客観的な立場から専門的な助言を行う等」機能を持たせるよう検討するとあります。
文部科学省の特別教育支援教育課はあくまでも「障害」のあるなしで子どもたちを「分断」し、さらにその分け方を厳しく守らせたいと考えているようです。しかし、いったい一人一人のニーズに沿った教育というのは、盲.聾.養護学校でしか受けられないものなのでしょうか?現状として盲.聾.養護学校に在籍する全ての児童生徒において、どの子も適切な教育がなされていると言えるのでしょうか?1993年に日本でも批准された、子どもの権利条約 第三条において「その子の最善の利益」を掲げているにもかかわらず、世界中にインクルージョンの思想が広がりをみせ、支持を得ている今でさえ、なお、何故この国だけが、こと障害のある子ども(者)の教育ということになると「この子の幸せ」を振りかざし、子どもたちを排除しようとするのでしょうか?子どもたちを置き去りにした「合理性」ということが、そんなに大事なことなのでしょうか?
以上これらをふまえ、今回のこの「改正」がどの子にとっても不利益がもたらされることのないよう強く願うものです。「自分たちの生きる場所は自分たちで決める」という意思表示が今必要とされています。どうかみなさん、今後の動きを注意深く見守って行きましょう。