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学校教育法施行令改定パブリックコメントに対する抗議文

2002年1月15日
すももの会

 私たちは静岡県を中心に、インクルージョンの実現に向けて考え、活動しているすももの会と申します。どの子も当たり前に地域の中で育ち暮らしていけるように(ハンディキャップのあるなしに関わらず共に学び、遊び、育ち合える社会の実現)を願っています。私たちは、日々実際の暮らし、就学・就労等を考える中で、一緒に育ち合うこと、すなわちインクルーシブな教育こそがノーマライゼーション社会を築き上げていくために必要不可欠であると確信しています。
 しかしながら、今回貴省から出された政令案は、世界のノーマライゼーションの動きに相反するものであり、なぜ日本だけが逆行していくのか深い憤りと怒りを感じています。この政令案施行により、さらなる社会に新たな差別と分断を生む結果をもたらすものになりはしないかと、大きな危惧を感じずにはいられません。そこで、当会において緊急に検討を行いました。
 よって、下記のとおり断固として抗議致します。

1.このコメントは施行令の改定部分についてのみしか記載されていません。今回の改定は政令、省令、通知にわたる広い改定であることが明らかにされています。これでは、改定の全体像が明らかではなくコメントのしようがありません。全体像を公に明らかにして下さい。

2.そのなかでも特に施行令とあわせて施行規則の改定がどうなるのかが全くわかりません。「安全に過ごすことが可能なこと」「対人関係の形成の上で著しい問題の認められないこと」といった施行規則の改定はなくなったと解釈していいのでしょうか。

3.施行令第22条の3では知的障害者について「知的発達の遅滞の程度が意思疎通が困難で日常生活において支障があり援助を必要とする程度のもの」と改定されるとあります。現行の表においてもまた改定案の他の障害者に対しても障害それ自体の程度を言及しているだけにもかかわらず、知的障害者に対してだけ、なぜ「援助」という人的かかわりの必要性について言及しているのでしょうか。意図的に介助の必要性のある知的障害者を地域の小中学校から排除しようとするものとしか考えようがありません。「援助を必要とする」の表現を削除すべきです。

4.「小学校又は中学校において適切な教育を受けることができる特別な事情があると市町村の教育委員会が認める者」とあるが、そもそも子供にとっては教育を受ける権利があり、日本国憲法及び教育基本法の中でも保障されているはずです。また、こどもの権利条約でも第23条において、「障害を有する児童が可能な限り社会への統合及び個人の発達(文化的及び精神的な発達を含む。)を達成することに資する方法で該当児童が教育の機会を実質的に利用し及び享受することができるように行われるものとする。」となっており、本人またはその権利代行権は親にあると認めています。よって、「本人または親の意志が最大限尊重される」を明記すべきです。

5. 障害の状態の変化に伴う就学先変更の手続きについてですが、これにも、「教育委員会の判断により」となっており本人又は親の意志が尊重されることはないということなのでしょうか?「校長が市町村又は都道府県教育委員会に連絡し」とあるが、本人や親の頭を飛び越えて連絡しあうなどということがあってはならないのではないか。

6.今回の見直しが現在小中学校在籍児の就学状況を変更するものではないとしているが、その多くが今回の「特例」の基準を満たしておらず、「特例」という形で基準を明確にすることは「本来ここにいてはいけない子」という認識を他の子供や教職員等に植え付け、差別、分断を強化する事に繋がると懸念されます。ノーマライゼーションの思想を打ち出すのなら、普通学級在籍を「特例」として位置付けるのはやめて下さい。

7.就学指導の見直しについて、例に「車いすを利用する児童がエレベーター、スロープが設備されている学校に就学する場合」となっているが、全国的に見ていったいどのくらいの学校にエレベーターやスロープがついているのか提示してください。学校施設設計指針第3章−19や障害者基本法第2条の2−1と矛盾するがどういうことですか?

8.「就学指導において、児童生徒の障害を専門的見地から適切に判断する就学指導委員会」とあるが、そもそも「指導」とはどういうことなのですか?また、ほんのわずかな時間で「専門的見地から適切な判断」などできると考えているのですか?その位置付けを明らかにしなくてはいけない理由が、まったく伝わってきません。もし、私たちの納得のいくような理由があるのなら、公に提示してください。

9.「文部科学省では最終報告の提言を踏まえ、医師、教育委員会、学校関係者等の意見を聞きながら検討を行い」とありますが、なぜ、当事者やそれらを取り巻く団体などの意見は入っていないのですか。今回の改定は、医師や教育委員会、学校関係者のために行われるものではないはずであり、当事者を抜きに改定を進めるのは正しい判断が行われるものとは思えません。

10. 以上今回のパブリックコメントついての私たちの意見をまとめました。この改定は統合教育の一歩どころか、さらなる分離教育の強化の恐れさえあります。これらの諸点について可及的速やかに公にご回答くださいますようお願い申し上げます。

以上